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山行記録

南アルプス 野呂川 大仙丈沢 敗退 2010/08/28-29

メンバー: T(CL)、F
天候: 両日とも晴れ
タイム:
<8/28>
新宿駅(23:53)<ムーンライト信州号>甲府駅(02:20-04:00)<バス>広河原(06:10-6:50)→野呂川出合(07:00)→大仙丈沢入口(08:10)→Tとはぐれる(09:00)→Fが沢を下山(10:30)→両俣小屋(12:30)→Fが小屋番と沢まで引き返し、下山のTと再会(13:30頃)→両俣小屋(14:30頃)
<8/29>
両俣小屋(08:36)→広河原(12:40-13:30)<バス>甲府駅(15:30-16:10)<特急かいじ>新宿駅(17:57)

今回の山行は互いにはぐれてしまい目的を達せずという大変お粗末な結果となってしまった。当初の予定では、初日に大仙丈沢を登りきり大仙丈カールまで出て一泊、翌日は南アルプスの女王、仙丈ヶ岳に登頂後、栗沢山まで足を延ばして下山、のはずであった。それが、あわや遭難という騒ぎを起こしてしまい、大仙丈沢を登りきることすら出来ず、何故か両俣小屋に一泊して帰京してきてしまったのである。「遭難」の経緯は以下の通り。
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今回の山行は、新人の私が地図の読み方を実地で覚えたり、ルートファインディング(と言うには大げさな行程だが)が出来るよう訓練するという目的もあった。不思議なもので、地図を持って歩いているだけで、いっぱしの登山家になった気になってしまい、「あれは何山で、ここはこういう地形だから現在位置はここだ。うんうん。」等と余裕をかまして歩いていた。地図で1時間30分程度の道程を50分そこそこで歩いてしまったのも変な自信を生み、気持ちに隙を作ることとなってしまった。
8時10分頃に大仙丈沢に入り、途中いやらしいトラバースを抜け、見晴らしの良い、開けたお花畑に出る。ここで下界ではついぞ目にしないような美しい蝶々が舞っていた。
小休止を取ってから、Tが「先行ってくれ」と言うので、リーダーになったつもりで意気揚々と歩き出した。見晴らしは良く、とにかく沢の右岸を登るだけの単純なルート、お互いはぐれる等という考えは微塵も無かった。そこに山の魔物が入り込んだ。
歩き出して1分もしない内の出来事だった。何となく振り返ると、そこにあるはずのTの姿が忽然と消えていた。しばらく目を凝らすも、動くものは何も無い。「Tさ~ん!」大声で呼ぶも返事は無い・・・。一気に不安に襲われ、血の気が引き、喉の奥がキュウキュウとした。その場にザックを放り投げ、大声でTを呼びながら小休止した地点に引き返す。
確かに沢の右岸を登るという単純なルートだが、特に決まった踏み跡があるわけでなく、お花畑を突っ切るルート、沢側へ降りて登るルート、山側の木立の中を行くルート、と大きく3つのルートが考えられた。その上、獣道が幾筋か走っており、それもまた冷静さを失わせる要因となった。これだけ大声で呼んで何の返事も無い。Tは自分の後ろにいた。どこかに倒れているに違いない。実はTは私を抜かして先に行っていたのだが、このように思い込んでしまうと冷静な思考がフリーズしてしまい、先に挙げた考えられるルートを徹底的に探した。
当然見つかるはずは無く、時間だけが虚しく過ぎた。「Tさ~ん!」返事は無く、お花畑にどっと風が吹き、空には入道雲が湧き出ていた。先程まで少年の日のように蝶々の写真を撮っていたT。あの蝶々がまるでTを極楽浄土に誘ったかのように思え、まとわりつかれるのも忌まわしかった。沢の上流に手を合わせ、必ず助けを呼んで戻ってきます、と引き返した。
地図を見ると、大仙丈沢の出合から2時間程のところに両俣小屋がある。そうだ、ここに行けば無線で助けを呼んでくれるだろう。冷静さを失い凝り固まった頭で歩き出した。Tを沢に残したまま歩いている自分に罪悪感を感じつつ、小屋に着くとTと同姓の小屋番に事情を話した。「アンタ、それ先に行ってるわ。引き返しなさい。」と言われ、そんな考えは毛頭無かったので、頭から水をぶっかけられたような心持ちがした。が、一応、地元警察等と連絡を取って頂き、小屋番の運転する車で出合まで引き返した。
そこには治山工事関係者数名が休憩を取っていた。ちょうど、これこれこういった風貌の人が・・・と説明している時だった。工事関係者の一人が「おい、あれじゃねえか?」と言うので沢の方を見上げると、大仙丈沢をバックにTが立っていた。その姿はまるで、死地から生還を果たした帰還兵のようであった。
「Tさ~ん!」夢中で駆け出すと、「ばっかやろう~!」と返ってきた。まるで映画のようなタイミングなので驚いたが、救助ヘリも離陸寸前という絶妙なタイミングだった。その日は小屋番にこっぴどく怒られ、テント場に泊まった。そして懲りないTの猥談を聞きながら安堵の眠りについたのだった。
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反省点:小屋番も何度も口にしていたが、パーティで入ったら、最後まで離れず、パーティで降りてこなければいけない。当たり前のようだが、単純なルートだからと気を抜くと、今回のようなことになる。また、大声で呼び合っていても聞こえないことがある。私達が離れた距離は、せいぜい5、60メートル程度と思われるが、お互いの声が一切聞こえなかった。木々の間を渡る風や、特に今回は沢だったので、その水音にかき消されてしまうようだ。何も難しい岩場や鎖場がある山だけが危険なのではなく、山に入ったら、それが例えどんな穏やかな低山だろうと、気を引き締めてかからねばならない。そういった意味では、はぐれた際の不安や恐怖を身をもって体験し、大変良い勉強になったが、これも本当に何事も無かったから言えるのだ。(F)
はぐれたお花畑
はぐれるなど露知らず
両俣小屋
甲斐駒
大仙丈
治山工事が続く
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