那須 那珂川 苦土川 井戸沢~峠沢 2010/08/21-22
メンバー: S(CL)、P、(以下、入会希望者)Q
天候: 晴れ
タイム:
<8/21>
東京(13:00)<マイカー>車止めゲート(16:30)
東京(13:00)<マイカー>車止めゲート(16:30)
<8/22>
車止めゲート(06:05)→三斗小屋宿跡(07:00)→入渓点(07:15)→大滝(08:15-08:35)→稜線(11:10-11:30)→流石山(11:50-12:15)→大峠(12:55)→峠沢入渓点(13:20)→吊橋(15:20-15:30)→車止めゲート(16:30)
車止めゲート(06:05)→三斗小屋宿跡(07:00)→入渓点(07:15)→大滝(08:15-08:35)→稜線(11:10-11:30)→流石山(11:50-12:15)→大峠(12:55)→峠沢入渓点(13:20)→吊橋(15:20-15:30)→車止めゲート(16:30)
Sが見つけてきた那須の沢へ。Qはこの沢の遡行後、入会するかどうかを決めるらしい。自分は那須の沢どころか那須の山自体初めてである。
21日、13時に西日暮里駅に集合し、Sの車で那須へ。東北自動車道はすいていたので、渋滞もなく西那須野塩原ICを降りる。一般道に降りてから途中でコンビニに寄り食糧を買い出し、那珂川源流への道を走る。深山ダムの左岸を過ぎてまもなくすると右岸から大川が合流し、すぐ先で林道は右岸へ渡っている。その橋の手前で車止めのゲートがある。地元の人の話によると、ちょっと前までは簡単にゲートを開けられたらしいが、現在は南京錠がされていて開けられない。
ゲート前の駐車スペースに車を停め、今晩の寝床を求めて沢へ下りてみる。薪は少ないが、焚き火跡があり、残りの薪も集められたままの状態で置かれていた。車は近いし整地もある程度されているので、そこを今晩の寝床に定める。念入りに整地を行い、天幕を張り、薪をさらに集める。
空模様が怪しいのでたびたび仰ぎ見てみるが、今晩は降らない様子。焚き火に火を入れ、ビールから始まり、焼酎、ウィスキーと空けていく。飯も炊きあがり、ビーフシチューをかけて、ハヤシライスのような晩飯。夏合宿の不評だった朝飯から比べると桁違いに旨い。今回の飯がまずければ、Sの食糧担当は考え直さねばならなかったろう。それでも、Sは味が薄かったと反省している。飯を平らげ、ほどなくして酒もなくなってしまった。こんなに車から近いところで幕営と知っていたらもっと酒を持ってくればよかったとみなで反省しきり。結局、夜には星空が広がっていた。
0時ころか、気持ちよくなったSは天幕の外に寝て、Qと自分は天幕へ。朝方、Sはブヨにやられて痒そうにしている。シュラフに入らなかったQは寒さで寝られず、1時半ころシュラフに入ったなどと言っていたが、自分がQから30分も遅れずに天幕に入ってからすぐにイビキが聞こえてきたのだから十分に寝ていたはずだ。
朝、Sが一足早くに起きて朝食の支度をしていてくれた。自分が起きると隣のQも起きてきた。メニューは雑炊らしいが、水分量を間違えたのか米が多すぎたのか、微妙な炊き込みご飯のようになっていた。過去単独行の多かったSにはしばらく数名分の飯炊き修行をしてもらわねばなるまい。そんなことはどうでもよいが、それよりもQがあまりにも少食であったのには驚いた。日常での食事量のつもりでいると山でバテてしまうので要注意。
朝食後、天幕を撤収し、車に不要なものは置き残して出発。林道を1ピッチいくと、戊辰戦争の際、悲惨な出来事があった三斗小屋宿跡があり、その少し手前には多くのお地蔵さんやお墓があった。手を合わせ、今回の沢の無事を祈る。
三斗小屋宿跡から少しいくと、真っすぐ進む道と三斗小屋温泉を経て茶臼岳などへ向かう道の分岐となる。われわれは後者をとり、一旦沢へ下りる。そこが吊橋のある入渓点だ。
ほどなくして湯川右岸から井戸沢が水流なく出合い、ガレた井戸沢を辿っていく。しばらく進むと開けたところに大きな堰堤が現れる。出発直後、車まで戻ったSが出会った後続5人パーティがそこで地図を確認していた。かれらは分岐から沢へ下りずに真っすぐの道をとり堰堤の手前に飛び出したらしい。われわれはそれを横目に右岸から堰堤を越えた。すぐ後をかれらも追いかけてきた。堰堤を越えてからの降り口が少々悪かった。
堰堤を過ぎるといよいよ水流が現れ、実質的な遡行が始まる。もたもたしているうちに後続2パーティに先を越された。最初は滝もない平凡な沢だが、ほどなくして大滝が現れる。そこで沢は右に直角に曲がり、15mほどの大滝が落ちている。
直登している先行パーティの様子から察するに、直登は右からで、上部は垂直かうす被りのチムニーになっているようだ。残置のシュリンゲやカラビナが見えていて、彼らはそれらを使って抜けていった。その後のもう1パーティは高巻きをすべく左岸の藪の中へ消えていった。今回リーダーをお願いしたSは直登したそうであったが、相談の結果、沢が初めてのQがいることもあり、われわれも高巻きを選んだ。それほどひどくもない藪をかき分け抜けると、すんなり落ち口の数m先へ出た。
その後は数mから10m級まで数多くの滝が連続して出てくるが、ほとんど直登可能なやさしい階段状で、初級者でも十分楽しめる。
階段状のやさしい滝でQが一度浮いている岩を剥ぎ落として滑落しそうになったが、運よく他の岩に引っ掛かり落ちずに済んだ。下の登っていた自分は危うくその岩の直撃を食らうところだったが、かろうじて避けることができた。
また、別のある滝ではSが2mほどの高さからスリップして滝壺というには浅すぎるそれに滑落。これも運よく怪我は免れた。
両方ともたまたま目にしてしまったのだが、見ているこちらの心臓に悪い。その後はS、Qともにかなり慎重になったのだろう、無事に稜線までツメることができた。
ツメは急傾斜で、Qは少々バテ気味だった。最後は大した藪もなくすんなり登山道が走る稜線へ出た。怪しい雲が近づいてはきていたが、稜線はおだやかな緑の絨毯を敷いたような気分のよいところで、那須連峰最高峰の三本槍岳を始めとした那須の山々が一望できる。那須岳は茶色の山肌を見せ噴煙を上げており、他にも北アルプスの裏銀座を思わせるような山や尖がった山などさまざまな山容が楽しめる。
稜線を東へわずかにいくと流石山(ナガレイシヤマ)があり、そこで大休止。福島のハイキングクラブらしい登山客20数名ほどとしばらく歓談。先に失礼し、大峠まで比較的急な登山道を一気に下り、下山に決めていた峠沢までさらに登山道を下る。
峠沢には滝がないが、開けたきれいなナメがあるところもあり、下山にとるにはよい沢で、慣れた人なら1時間もあれば三斗小屋宿跡まで行ってしまうだろう。われわれは沢初体験のQがいたので、歩き慣れていない沢の歩き方をQに教えつつゆっくり下り、2時間ほどで三斗小屋宿跡近くの吊橋まで下った。
沢で一息いれてから三斗小屋宿跡へ向かい、お地蔵さんやお墓に無事を報告、お礼を伝え、林道を戻った。
帰りの車中、沢で二度ほど死にそこなったQから当会への入会の返事があった。
Qにはホールドの選び方、使い方、沢の歩き方、焚火の仕方など多くのことを、自らの失敗も含め実地で経験してもらえたのでよかったのではないだろうか。山を覚えるなら、一年悩むより一回山へ行くほうが断然早い。「悩むより慣れろ」だ。(P)